STEEL MATERIAL INTRODUCTION 鋼材紹介
SK 5
SK5とは、SK材のうちSK85に相当する炭素工具鋼鋼材です。 SK材は炭素量の低いものはじん性が要求される工具に用い、反対に炭素量が多いものについては硬度や耐摩耗性などが必要とされる工具で使われます。 SK材は炭素量が0.6%を超えるものと規定されていますが、実際、この炭素量にあると硬度はほとんど変わらず、あとは耐摩耗性や耐衝撃性が変わってきます。
この鋼材について問い合わせる◼用途
プレス型、ゲージ、ペン先、チゼル、メリヤス針 etc
◼代表成分
SK5は炭素工具鋼(carbon tool steel)に属します。
炭素工具鋼とは鉄に炭素(C、0.55 - 1.50%)、ケイ素(Si、0.10 - 0.35%)、マンガン(Mn、0.10 - 0.50%)を含む炭素鋼を指します。
キルド鋼を圧延または鍛造、据込み鍛錬することにより製造し、特に指定のない限り、鋼板および鋼帯は圧延のまま、それ以外は焼なましを行います。
加工性がよく、熱処理により適当な機械的性質を得易い反面、焼き入れ性が悪く焼き入れ時のトラブルがあるため、その使用量は高合金工具鋼への移行により減少傾向にあります。
SK 5 | C | Si | Mn | P | S |
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成分値 | 0.80~0.90 | 0.10~0.35 | 0.10~0.50 | 0.030以下 | 0.030以下 |
◼機械的性質
焼入焼もどしによりHRC58以上の硬さが得られ、高強度で耐摩耗性に優れているため、冷間鍛造や板金プレスのように高い負荷がかかる金型に使用されます。
炭素工具鋼は、0.55~1.5%の炭素を含有し、特別に合金元素を添加しない工具鋼ですが、水冷鋼であり、寸法が大きくなると芯部まで硬さが入らないことがあります。
この中のSK105に少量のMnやCrを添加し、焼入性(熱処理での硬さの出易さ)を改善したのが合金工具鋼の油冷鋼、SKS3になります。
SK 5 | 焼きなまし温度(℃) | 焼きなまし硬度(HBW) |
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機械的性質 | 730~760徐冷 | 207以下 |
◼加工性・特性
工具鋼の化学成分で、最も特性を変化させる元素はC(炭素)です。高いと焼入焼戻し硬さ、耐摩耗性が向上しますが、靭性は低下します。冷間で使用される型材は、一般的に60HRC程度以上の硬さが必要であり、約0.6%以上の炭素を含みます。熱間で使用される型材は、加熱・冷却の熱サイクルを受けるため、強度よりも靭性が重視されるので、約0.5%以下の低C材が使用されます。CrやMnは焼入性を改善します。これら元素が多く含まれている型材は空冷焼入れ可能なものが多いですが、ほとんど含まれない場合は、水冷・油冷などの急冷焼入れを行わないと硬さが得られません。W、Moは熱間強度・軟化抵抗を向上させるため、高強度熱間ダイス鋼・高速度工具鋼では、その含有量が多くなります。高V材は硬質のV系炭化物が多量に存在するため耐摩耗性重視材と言えます。