STEEL MATERIAL INTRODUCTION 鋼材紹介
SUS310S

SUS310Sは、「JIS G 4303 ステンレス鋼棒」に規定されているオーステナイト系ステンレスです。 代表的な耐熱ステンレス鋼で、1,000℃以上での繰り返し加熱環境で使用されます。 SUS310Sの硬度は、固溶化熱処理状態でHB:187以下です。比重は7.93。
この鋼材について問い合わせる◼用途
燃焼室部品、燃焼器具、加熱炉部品、治具、トレイ、排ガス部品
◼代表成分
SUS310Sは、クロム(Cr)を24.00~26.00、ニッケル(Ni)を19.00~22.00、炭素量(C)を0.08以下を含むオーステナイト系ステンレス鋼です。
オーステナイト系ステンレスの中では、最もクロム含有量が多い鋼種になります。
SUS310S | C | Si | Mn | P | S |
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成分値 | 0.08以下 | 1.50以下 | 2.00以下 | 0.045以下 | 0.030以下 |
Ni | Cr |
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19.00~22.00 | 24.00~26.00 |
◼機械的性質
SUS310Sの固溶化熱処理状態での機械的性質は、硬度(HB):187以下、耐力:205N/㎟以上、引張強さ:520N/㎟以上、伸び:40%以上、絞り:50%以上です。
SUS310S | 耐力 N/mm2 | 引張強さ N/mm2 | 伸び % | 絞り % | 硬さ (HB) |
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機械的性質 | 205以上 | 520以上 | 40以上 | 50以上 | 187以下 |
◼加工性・特性
SUS310Sの加工性は、SUS304と比較して、ニッケルとクロムが含有されている分、被削性が劣ります。
SUS310Sは、高温環境での耐熱性があり、主に1,000℃以上の加熱環境で使用される鋼材です。
ただし、700〜900℃で長時間加熱されると、シグマ相という常温で脆い組織が生成するので、注意を要します。
SUS310SはNiを20%含有し、比較的高価であることから、 省資源型代替鋼としてSiで耐熱性を補ったNSSC305Bが開発され、JISにもSUSXM15J1として登録されています。