STEEL MATERIAL INTRODUCTION 鋼材紹介
SUS316Ti

SUS316Tiは、「JIS G 4303 ステンレス鋼棒」に規定されているオーステナイト系ステンレスです。 SUS316Tiは、SUS316にチタン(Ti)を添加し、耐粒界腐食性を向上させた鋼種です。 SUS316Tiの硬度は、固溶化熱処理状態でHB:187以下です。比重は7.93。
この鋼材について問い合わせる◼用途
熱交換器、船舶部品、分電器 など
◼代表成分
SUS316Tiは、クロム(Cr)を16.00~18.00、ニッケル(Ni)を10.00~14.00、モリブデン(Mo)を2.00~3.00、チタン(Ti)を炭素含有量の5倍以上、炭素量(C)を0.08以下を含むオーステナイト系ステンレス鋼です。
SUS316Ti | C | Si | Mn | P | S |
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成分値 | 0.08以下 | 1.00以下 | 2.00以下 | 0.045以下 | 0.030以下 |
Ni | Cr | Mo | Ti |
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10.00 ~14.00 | 16.00 ~18.00 | 2.00 ~3.00 | 5×C%以上 |
◼機械的性質
SUS316Tiの固溶化熱処理状態での機械的性質は、硬度(HB):187以下、耐力:205N/㎟以上、引張強さ:520N/㎟以上、伸び:40%以上、絞り:50%以上です。
SUS316Ti | 耐力 N/mm2 | 引張強さ N/mm2 | 伸び % | 絞り % | 硬さ (HBW) |
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機械的性質 | 205以上 | 520以上 | 40以上 | 50以上 | 187以下 |
◼加工性・特性
SUS316Tiの加工性は、SUS304と比較した場合、ニッケル(Ni)含有量が高く、更にモリブデン(Mo)とチタン(Ti)が添加されている分、被削性は劣ります。
SUS316と比較しても、チタン(Ti)が含まれている分、被削性が劣ります。
したがって、ステンレス鋼の部類でも削りにくい鋼種に分類されるでしょう。
SUS316Tiは、SUS316にチタン(Ti)を添加して、耐粒界腐食性を高めた鋼種です。
粒界腐食とは、ステンレス鋼を約500~800℃に加熱すると結晶粒界にクロム炭化物(Cr23C6)が析出し、粒界腐食により耐食性が悪化することですが、SUS316Tiは、チタンを添加することで、クロム炭化物の析出を抑え、耐粒界腐食性を向上させています。