STEEL MATERIAL INTRODUCTION 鋼材紹介
SUS317L
SUS317Lは、「JIS G 4303 ステンレス鋼棒」に規定されているオーステナイト系ステンレスです。 SUS317Lは、SUS317から炭素(C)の含有量を減らした極低炭素鋼です。 末尾にLがついているステンレス鋼種はLグレードとも呼ばれ、Lがついていない種類よりも加熱時のクロム(Cr)濃度低下によって耐食性低下となる「鋭敏化」と呼ばれる現象が起きづらい鋼種です。 そのため、SUS317Lは、SUS317より耐粒界腐食性を向上させた鋼種です。 SUS317Lの硬度は、固溶化熱処理状態でHB:187以下です。比重は7.93。
この鋼材について問い合わせる◼用途
耐酸性が必要な化学工業設備 など
◼代表成分
SUS317Lは、クロム(Cr)を18.00~20.00、ニッケル(Ni)を11.00~15.00、モリブデン(Mo)を3.00~4.00、炭素量(C)を0.030以下を含むオーステナイト系ステンレス鋼です。
SUS317L | C | Si | Mn | P | S |
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成分値 | 0.030以下 | 1.00以下 | 2.00以下 | 0.045以下 | 0.030以下 |
Ni | Cr | Mo |
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11.00 ~15.00 | 18.00 ~20.00 | 3.00~4.00 |
◼機械的性質
SUS317Lの固溶化熱処理状態での機械的性質は、硬度(HB):187以下、耐力:175N/㎟以上、引張強さ:480N/㎟以上、伸び:40%以上、絞り:60%以上です。
SUS317L | 耐力 N/mm2 | 引張強さ N/mm2 | 伸び % | 絞り % | 硬さ (HB) |
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機械的性質 | 175以上 | 480以上 | 40以上 | 60以上 | 187以下 |
◼加工性・特性
SUS317Lの加工性は、SUS304と比較して、ニッケル(Ni)やモリブデン(Mo)が添加されている分、被削性が劣ります。
海水や塩水などの使用環境では、局部的に腐食が進行することがありますが、SUS317Lに添加されたMo(モリブデン)には、破壊された不動態皮膜を修復する機能があるため、SUS317LはMoを含有していないSUS304よりも耐食性が良くなります。
SUS317Lの『L』はLow Carbonの意味で、SUS317より炭素含有量を少なくした材料です。
ステンレス鋼を約500~800℃に加熱すると結晶粒界にクロム炭化物(Cr23C6)が析出し、粒界腐食により耐食性が悪化しますが、炭素量を減らすことで、耐粒界腐食性を向上させています。